当院の小児歯科では、以下の3つについて重点的に診療しています。
1.まず、徹底的に予防をします。
2.もしむし歯になってしまったら、小さいうちに適切に治療します。
3.むし歯になりにくくなるように、歯並びやかみ合わせの治療もします。
小児の虫歯予防のポイントは、お父さんとお母さんです。
乳児から幼児の間に、むし歯の原因菌であるミュータンス菌が家族から赤ちゃんに感染してしまうと、その子は一生ミュータンス菌が口の中にすみついてしまいます。
つまり、乳児から幼児の間にミュータンス菌を増やすことなく過ごすことができて、さらにきちんと歯みがきができるようになれば、むし歯になりにくいお口の状態のまま成長できるということです。
「乳歯は永久歯に生え変わるから、むし歯になっても大丈夫!」この考えは大間違いです!お子さんの歯がむし歯になっても、「まだ乳歯だし、いずれ永久歯に生え変わるから、むし歯になっても大丈夫だろう」と、お子さんのむし歯をまったく気にしなかったり、放ったままにしてしまうお父さんお母さんがいます。
でも、1本1本の乳歯の下には永久歯もうちゃんと存在していて、大きな意義をもっています。
・乳歯が大きく崩壊したり、自然に永久歯に生え変わる時期よりも早く抜けてしまうと、隣の歯が倒れて(寄って)きて、永久歯の生えるスペースを奪っ てしまうことがあります。そうなると、後から永久歯が生えてこれなくなったり、変な位置に生えて…など、歯並びが悪くなってしまいます。
・乳歯が大きなむし歯になると、その下の永久歯の質が弱くなって、一生むし歯で苦労することがあります。
お子さん自身は、むし歯のこわさやその苦労を知りません。大切なお子さんにあの苦労をさせないように、お父さんやお母さんが、お子さんの歯を守ってあげてください。
できるだけむし歯にならないように、むし歯の苦労を今の子供たちにさせないように、当院では徹底した予防治療を心がけていますが、もしもむし歯になってしまった場合には、大人と同じように治療を行ないます。
そのために、できるだけ痛くない治療を心がけています。3歳を過ぎれば泣く子はほとんどいませんし、押さえつけたり大声で叱ったりしながらの治療も一切しません(当然のことです)。
「なぜこの治療をするか」「どういう治療をするか」をお子さんに理解してもらい、治療は痛くない、こわくないと分かってもらえれば、大人と同じむし歯治療ができます。
むしろお父さんお母さんが、「子供がちゃんと理解できるかしら」「どうせ説明しても分からないから…」と思っていることの方が多いのですが、お子さんでも、3歳を過ぎると、しっかりと説明すればそれを子供なりにきちんと理解して、大人と同じように治療することができます。
当院では、歯みがき指導を行なっています。「毎日ちゃんと歯みがきをしているのに、どうしてむし歯や歯周病になるんだろう?」「人間は、歯を磨いてもむし歯になるのが当たり前なのかな」あなたも、そんな風に思っているかもしれません。
でも、ちゃんとした歯みがき習慣ができていたら、むし歯にはほとんどなりません。むし歯になるのが当たり前なのではなく、「歯みがきをしているようで、実はちゃんと磨けていなかった――」というのが、本当のところなのです。
むし歯も歯周病も、原因となる細菌が口の中にすみついているから起こります。
歯みがきの目的は、むし歯や歯周病の原因菌を落とすことです。
(決して、歯磨き粉をたくさんつけて、口の中をアワアワにしてすっきりさせることが目的はありません!)
むし歯の原因菌は空気を好みます。だから、歯の表面にくっつきます。ツルツルしたところにはくっつきにくいので、歯の表面のザラザラしたところや、 むし歯治療をした詰め物やかぶせ物の段差のところ、歯と歯が重なっているところなどに固まってくっつきます。(これを歯垢=プラークと言います。)
歯ブラシのヘッド(歯ブラシの毛がついている先端の部分)は、大きなものよりも小型なものを選んでください。歯と歯が重なっているところや歯と歯ぐきの境目という、狭くて小さいところを磨くわけですから、ヘッドは小さい方が細菌を落としやすいです。
歯ブラシの毛の硬さは、普通の硬さのナイロン毛かやややわらか目のナイロン毛が最適です。硬い毛は、ちょっと力を入れすぎてしまうと、歯や歯ぐきを傷つけ ることがありますし、細かいところまで届きにくくなります。硬め目の歯ブラシのほうが使用するにあたり難易度が高くなります。歯ぐきの炎症がある場合に は、やわらかめの歯ブラシを使って、炎症が治まってきたらやわらか目か普通の硬さの歯ブラシに代えてください。
歯ブラシを、力を入れてしっかり持ってしまうと、奥歯の奥まできれいに磨けません。また、強い力でゴシゴシと磨いてしまうと、毛先が広がって歯垢をとるこ とができません。また、強く磨いて歯ぐきや歯の根を傷つけてしまうと、そこから歯周病にもなってしまうことがあります。歯ブラシは、軽く鉛筆を握るように ゆったりと優しく持ってください。
鏡を見て、今自分がどの歯をどんな風に磨いているか、じっくり見ながら歯を磨いたことがありますか?これからは毎日、大きな口を開けて、自分の歯を見なが ら歯を磨いてみてください。よく見ると歯は平らな板ではなく、微妙なカーブがあったり、重なっているところがあったり、大きさが違ったりして、意外に個性 的です。前歯に比べて奥歯のこの辺りは磨きにくいなとか、唇が邪魔だなとか、そういった新しい感想をもつかもしれません。そういったところに、歯垢がたま りやすいのです。
あなたがブラシを動かす距離は、どれくらいでしょうか?
5mmから1cmくらいの細かい動きで歯を磨いてください。早く磨き上げようとして大きく動かす と、歯と歯の間にひそむ肝心の歯垢が取れていないので無駄に終わってしまいます。
歯と歯の間や、歯と歯ぐきの境目、こういったところを重点的に、歯ブラシ を細かく細かく動かして、歯垢を取り除いてください。細かくうごかせるようになるとマッサージ効果によるさっぱり感が味わえるようになります。